IBの10の学習者像には具体的な姿が定義されている。「人物像」だけを聞くと非常に抽象的な感じがするが、定義を読んでみると一つ一つが非常に細かく深く定義されていると感じます。

単純にスキルや知識といった認知的な能力を目指すだけでなく、「思いやり、挑戦、信念」といった非認知的な能力の獲得を目指しているような内容で非常に興味深い。

非認知能力に関する調査として有名なのは、ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授らが実施した「ペリー幼稚園プログラム」です。

同プログラムは、アメリカ・ミシガン州の幼稚園で1960年代にスタートした低所得のアフリカ系アメリカ人の就学前教育児童を対象にした教育プログラムでした。子ども達の卒園後もプログラムを受けていた子供たちの将来について追跡調査していました。

この教育プログラムによると、子どもの将来の成功に影響しているとされた能力は、IQテストや学力テストで計測されるような認知能力というよりは、意欲や自制心などの非認知能力であったことが明らかになったそうです。

試験などを通じて知識を獲得することを優先しがちな昨今の教育の流れの中で、子ども達に大きく影響を与えるのはテストなどで数値化することが難しい内面的なスキルであることは、非常に大きな学びがありました。

国際バカロレアを調べていくと、非常によくできたプログラムであると感心することばかりですが、「非認知能力」という子ども達の将来に大きな影響を与える要素とも密接な関係があるということで、ますますIBへの注目が高まっていきそうですね！